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    <title>今日見た人、会った人</title>
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    <description>名前も知らない人だけど、心に残った人々です。</description>
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    <title>自由の女神</title>
    <description>他州から来た友達を連れて地下鉄に乗った。途中地上に上がる時、自由の女神が見えるのだと話していたら「へえ」と言って驚く声がした。向かいに座る見ず知らずの男性だった。「NYに長いこと住んでるけど、自由の女神は一度も見たこと無いよ。」男性はそう言って身を乗り出...</description>
<content:encoded><![CDATA[
他州から来た友達を連れて地下鉄に乗った。途中地上に上がる時、自由の女神が見えるのだと話していたら「へえ」と言って驚く声がした。向かいに座る見ず知らずの男性だった。<br><br>「NYに長いこと住んでるけど、自由の女神は一度も見たこと無いよ。」<br><br>男性はそう言って身を乗り出した。窓の外が明るくなった。<br><br>「ほら、もうすぐ見えるよ。ほら」<br><br>私がそう言い、指差しながら振り返ったら、そこには黄金色に輝くNYのビル群とそれを取り囲む水面、そしてそこに浮かぶやはり黄金色に包まれた自由の女神がいた。<br><br>ちょうど夕暮れ時だったのだ。雲一つない天気でもあった。とろりと溶かしたゴールドを薄く広げたような景色だった。そのあまりの美しさに、さして何の期待もなかった私たちは「wow」とか「Oh」と呟いたっきり黙りこんでしまった。<br><br>唯一、自由の女神を何度も見たことのある私でさえ「ほら」と振り返ったきり何も言えなくなってしまったのだ。<br><br>ほどなく地下鉄は地下に戻った。<br><br>「うん、自由の女神は美しかったな。」<br><br>最初に口を開いたのは向かいの男性だった。それからすぐに私たちは他の話題に移った。それは、あの景色を共有できた照れのような嬉しさにそれぞれが満ちていたからだと思う。<br><br>自由の女神は美しかった。<br>
]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2009-07-03T01:04:00+09:00</dc:date>
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  <item rdf:about="http://aloe352.jugem.jp/?eid=113">
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    <title>憧れ</title>
    <description>ある店で会計を待っていた。私の前では女性が一人、今まさに会計を済ませている。彼女が店主に尋ねた。「クレジットカードは使えるかしら？」個人経営の小さな店である。いくらこの国がカード社会とはいえ現金主義の店もたまにはある。店主は答えた。「20以上なら使えます...</description>
<content:encoded><![CDATA[
ある店で会計を待っていた。私の前では女性が一人、今まさに会計を済ませている。彼女が店主に尋ねた。<br><br>「クレジットカードは使えるかしら？」<br><br>個人経営の小さな店である。いくらこの国がカード社会とはいえ現金主義の店もたまにはある。店主は答えた。「20以上なら使えます。」数字に単位はなかったが、それが20ドルという意味であるのは明らかだ。女性は言った。<br><br>「20?　あら良かった。私65だから大丈夫ね。」<br><br>一瞬間があって、それが彼女の年齢だと分かると泡がはじけたように皆大笑いした。<br><br>頭の回転の早さ、さらにはタブーとされている女性の年齢を持ってして笑いをとる大らかさ。<br><br>私は彼女のようなヒトニナリタイ。<br>
]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2009-06-23T01:13:00+09:00</dc:date>
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  <item rdf:about="http://aloe352.jugem.jp/?eid=112">
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    <title>ああ連帯感</title>
    <description>&amp;nbsp;地下鉄の改札を抜けてホームへと続く階段を降りていたら、列車がもう止まっているのが見えた。慌てて足を早め思わず日本語で叫んだ。「待ってーーっ」その声は私の数メートル先を行く若い男性を動かした。声に驚いて後ろを振り返った彼は必死の形相の私を見るや否や...</description>
<content:encoded><![CDATA[
&nbsp;地下鉄の改札を抜けてホームへと続く階段を降りていたら、列車がもう止まっているのが見えた。慌てて足を早め思わず日本語で叫んだ。「待ってーーっ」<br><br>その声は私の数メートル先を行く若い男性を動かした。声に驚いて後ろを振り返った彼は必死の形相の私を見るや否や走り出し、列車に片足だけ乗っけた。右半身は車内、左半身はホームである。そうして、必死に階段を降りる私に「早く乗れ」と言わんばかりに左の腕を振るのだった。<br><br>列車のドアは私が乗り込んだ直後に閉じられた。身体を張ってドアを押さえていた彼は、私が乗り込んだのを確認したあとようやく自身の左足を車内に踏み入れた。<br><br>息のあがったかすれ声で礼を言う私に、さわやかスマイルで片手を挙げて答える彼。一本乗り遅れたところで何の支障もないのだけれど、目前の列車を見過ごすわけにはいかない。こういう親切には感謝してもしきれない。<br>
]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2009-06-01T23:38:00+09:00</dc:date>
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  <item rdf:about="http://aloe352.jugem.jp/?eid=111">
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    <title>大げさな</title>
    <description>「あぁーっ！」

突然の叫び声の主はフライトアテンダントだった。叫ばれたのは大きなバックパックを背負った男性。

男性が振り返った際に、背中のバックパックがフライトアテンダントに当たったらしい。フライトアテンダントはバックパックが直撃した左腕をさすりな...</description>
<content:encoded><![CDATA[
「あぁーっ！」<br />
<br />
突然の叫び声の主はフライトアテンダントだった。叫ばれたのは大きなバックパックを背負った男性。<br />
<br />
男性が振り返った際に、背中のバックパックがフライトアテンダントに当たったらしい。フライトアテンダントはバックパックが直撃した左腕をさすりながら大げさな忠告を男性に浴びせた。<br />
<br />
「あなたのそのバックパックは凶器よ！気をつけて！」<br />
<br />
旅の始まりの搭乗の際に凶器呼ばわりされたその主と席が近かった私だが、身の危険は感じませんでした。<br />
<br />
大げさにもほどがある。
]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-11-23T12:09:43+09:00</dc:date>
    <dc:creator>aloe352</dc:creator>
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  <item rdf:about="http://aloe352.jugem.jp/?eid=110">
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    <title>ボクはおススメしないけど</title>
    <description>今は秋。秋といえばサンマ。私はサンマが大好きだ。
なじみのレストランの本日のスペシャルメニューにサンマの文字を見た。メニューを握る手が震える。この土地で青魚が食べられるなんて滅多にないことだ。

メニューを更に読み込む。何やら柑橘果汁でサンマをしめてい...</description>
<content:encoded><![CDATA[
今は秋。秋といえばサンマ。私はサンマが大好きだ。<br />
なじみのレストランの本日のスペシャルメニューにサンマの文字を見た。メニューを握る手が震える。この土地で青魚が食べられるなんて滅多にないことだ。<br />
<br />
メニューを更に読み込む。何やら柑橘果汁でサンマをしめているらしい。焼きサンマでないのが残念だがしめた青魚も大好きだ。しかも上には水菜を載せているらしい。日本を意識したメニュー作りに敬意を示すためにも注文決定。<br />
<br />
残念なのは前菜サイズであることだ。この際、ぜひ大皿で食べたい。2皿注文しようか。私は<A HREF="http://aloe352.jugem.jp/?day=20080210">いつものウェイター</A>に相談を持ちかける。すると彼は一瞬言葉に詰まって言った。<br />
<br />
「オ、オッケー。そんなにサンマが好きなら厨房に行って聞いてみるよ。多分主菜サイズにできると思うけど。」<br />
<br />
そそくさと彼は厨房に引っ込んだ。かなり驚いている様子だった。明らかに彼はサンマが嫌いな様子である。そして彼がテーブルに戻って来た。<br />
<br />
「主菜サイズでサーヴできます。ただ、マリネなので冷たいですし、あくまで前菜としてサーヴされる事を意識して作られたメニューです。それでも良ければ主菜サイズでお作りしますけど。」<br />
<br />
本当に彼はサンマが嫌いらしい。いつもこちら側の言う事を否定しない人の良い彼が、「警告」の雰囲気をもって言って来た。「ボクはおススメしないよ？」そんな言葉が見え隠れする。それでもいいのだ、私はサンマが好きなのだと、主菜としてサンマを注文した私からメニューを受け取りながら、彼は言った。<br />
<br />
「オ、オケー。サンマ二人分うけたまわりました。ワァオ。」<br />
<br />
ワァオって。彼は本当にサンマが嫌いらしい。<br />
<br />
出てきたサンマは、小粒であったがいかにも新鮮なサンマを丁寧に漬け込んであり、新鮮な水菜とともに食すと美味しかった。一枚一枚丁寧に並べられたサンマの開きを口に運ぶ度広がる青くさが逆に新鮮でおいしく、一気に平らげた。<br />
<br />
何もなくなった私の大皿を見てウェイターはまた一瞬言葉に詰まって言った。<br />
<br />
「ワ、ワァオ。グッジョブ。」<br />
<br />
本日二度目のワァオ、頂きました。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />

]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-09-29T06:48:08+09:00</dc:date>
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  <item rdf:about="http://aloe352.jugem.jp/?eid=109">
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    <title>西洋版「男はつらいよ」</title>
    <description>「だいたいよぉ、最近はよぉ、知らんぷりするヤツが多いんだよ、特に男がよぉ。
地下鉄でもよ、ストローラーをよぉ、えっちらおっちら抱えて階段登ってらよ、手伝わないわけにゃいかないだろうよ、え？　中を覗けばよ、赤子が入ってんだよ、重いはずだぜ？

それなのに...</description>
<content:encoded><![CDATA[
「だいたいよぉ、最近はよぉ、知らんぷりするヤツが多いんだよ、特に男がよぉ。<br />
地下鉄でもよ、ストローラーをよぉ、えっちらおっちら抱えて階段登ってらよ、手伝わないわけにゃいかないだろうよ、え？　中を覗けばよ、赤子が入ってんだよ、重いはずだぜ？<br />
<br />
それなのに最近はよ、その横を知らん顔して通り過ぎる輩ばっかりでよ。俺はその方が不思議でよ。」<br />
<br />
片手に赤ちゃんもう一方の手には折り畳んだストローラーを持ってバスに乗り込もうとした母親の前に車内から嵐のように現れ、「いいから、いいから」と言いながらストローラーを母親から奪い空席まで誘導したおじさんがいた。「アンタ良いことするわね」と、やはり車内にいたおばさんから声をかけられておじさんが言った台詞だ。照れ隠しだろうか声がでかい。<br />
<br />
訳の分からぬまま席に促され座らされた母親はしばらく目をキョロキョロさせていたが、おじさんの理論を聞いてたった今我が身に降り掛かった出来事に合点がいった様子である。<br />
<br />
その後バスの運転手からもその行いを褒められ、「俺はよ、お当たり前のことをしたまでよ」と言いながら、やはり照れ隠しか持っている荷物をバッグから出したり入れたりしていたおじさんである。<br />
<br />
余談だが、おじさんがフーテンの寅さんに見えてしかたのなかった私である。
]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-09-11T12:22:10+09:00</dc:date>
    <dc:creator>aloe352</dc:creator>
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  <item rdf:about="http://aloe352.jugem.jp/?eid=108">
    <link>http://aloe352.jugem.jp/?eid=108</link>
    <title>上昇中</title>
    <description>「ここで何してんの？」

そう聞いて来たのは、祖母らしき女性と一緒の男の子だった。小学校高学年くらいだろうか。

「バスを待ってるの。」

私がそう答えると、彼は「あぁ」と納得したように呟く。バスを待つ意外他に何のしようもない場所である。バスストップの...</description>
<content:encoded><![CDATA[
「ここで何してんの？」<br />
<br />
そう聞いて来たのは、祖母らしき女性と一緒の男の子だった。小学校高学年くらいだろうか。<br />
<br />
「バスを待ってるの。」<br />
<br />
私がそう答えると、彼は「あぁ」と納得したように呟く。バスを待つ意外他に何のしようもない場所である。バスストップのサインが立っているだけで、そこに彼とその祖母、そして私が集っているのだ。<br />
<br />
彼の屈託のない純真無垢な瞳が、再度私に向けられる。<br />
<br />
「ねえ、飛行機運転したことある？それか、乗ったことある？」<br />
<br />
う、運転？思わずハンドルを握る操作をして、私は彼に確認する。<br />
<br />
「そう、飛行機操縦したことあるか聞いてるの。」<br />
<br />
頭上には、高度を下げた飛行機が一直線に飛んでいく。近くの空港に降り立つのだ。彼の祖母は、私たちの会話を気にも留めない様子でバスが来る方向を見つめている。<br />
<br />
「操縦はしたことないけど、乗ったことなら何度もあるよ。」<br />
<br />
頭上の飛行機を見上げながら私は答える。長い話になりそうな予感がしたが、この状況で彼を無視はできない。<br />
<br />
「それならさっ、ヒューストンかオースティンかダラスに行ったことある？」<br />
<br />
彼はだんだんと早口になっている。私が答えると、それならここはあそこはと次々に全米中の都市の名前を挙げてくる。一通り都市が出尽くしたところで、今度は私が彼に尋ねる。<br />
<br />
「飛行機、好きなんだ？」<br />
<br />
はにかんでウンと答える彼はかなり本気のようだ。聞けばパイロットになるために必要な進路や飛行時間まで把握している。バスはまだ来ない。そんな彼を少し刺激してみようと私は試みる。<br />
<br />
「私、日本出身だから、日本とアメリカの往復はよくしているよ。」<br />
<br />
「ほんとにっ！？」<br />
<br />
案の定、彼は目を二倍に見開いて食いついて来た。「航空会社はアメリカン？デルタ？」「十何時間かかるよね？」「西海岸まで到達するのに○時間かかるよね？」<br />
<br />
彼の様子がかわいいやらおかしいやらで、こみ上げる笑いをこらえながら彼の質問に答えていたが、彼の発したこの一言でついに大笑いしてしまった。<br />
<br />
「日本て今、朝の6時半だよ。わー、君早起きだね。」<br />
<br />
その時、夕方の5時半。日本はまさに彼の言う時刻である。時差までインプットされている彼の頭の中に私は驚いた。<br />
<br />
その後、日本行きの飛行機が何ノットで飛んでいるのか答えられなかった私のために彼によるノット講義が行われ、どの航空会社がどう好きか二人して意見交換が交わされたところでバスが来た。<br />
<br />
バスの中では、彼は運転手の真横に立ってその運転術を真剣な眼差しで見つめていた。祖母は、そんな孫は放っておいて一人がけのシートにちゃっかり座っている。<br />
<br />
彼の夢への滑走路に、なんの障害物もありませんように。後ろの座席から彼の小さな背中を見つめながら、そう願わざるを得なかった。<br />
<br />
そしていつか、君の操縦する飛行機で、私を日本に連れて行って下さい、タダで。<br />
<br />

]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-07-31T23:22:29+09:00</dc:date>
    <dc:creator>aloe352</dc:creator>
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  <item rdf:about="http://aloe352.jugem.jp/?eid=107">
    <link>http://aloe352.jugem.jp/?eid=107</link>
    <title>肯定屋</title>
    <description>「強くて苦い豆が好きなんだけど、おススメはありますか？」

コーヒー豆を売る店で、レジの女性に質問した。あまり難しい事は聞いていないつもりだったけど、女性は何度も私に確認する。

強いのがいいのね？
苦いのが好きなのね？
つまり、マイルドなのはダメッて...</description>
<content:encoded><![CDATA[
「強くて苦い豆が好きなんだけど、おススメはありますか？」<br />
<br />
コーヒー豆を売る店で、レジの女性に質問した。あまり難しい事は聞いていないつもりだったけど、女性は何度も私に確認する。<br />
<br />
強いのがいいのね？<br />
苦いのが好きなのね？<br />
つまり、マイルドなのはダメッてことね？<br />
<br />
それらに一つひとつ答えて更に、酸味のある豆も苦手と言った私にようやく女性は「OK」と言った。「とびっきりのおススメがあるわ。」<br />
<br />
店の奥からまだ封の切られていない豆の袋を持って来て、女性はうやうやしくハサミを入れた。「まさにアナタにぴったりの豆よ。」そう言いながら開封したての袋の中から漂う香りを私に嗅がせる。そして女性は言う。「私もあなたと同じで、強くて苦いのが好きなの。」<br />
<br />
その豆を挽きながら、私に試して欲しい味があると女性は言う。小さなカップに注がれたそれは、シナモン風味のコーヒーだった。シナモンスティックを豆に忍ばせて出荷されているものらしい。自慢げにそう語る女性には申し訳なかったが、フレーバーコーヒーは好きではないと、飲み干したカップを返しつつ私は言った。すると女性は意外にもこう答えた。「私もよ。」<br />
<br />
そのシナモンコーヒーは女性のお気に入りであるかのように見えたのは、私の勘違いか。あまり深く考えず、私はもう1種類違う豆を買った。その豆が挽かれるのを待ちながら、女性とコーヒー談義に花を咲かせる。<br />
<br />
私が言った「チコリーも苦手なの」という発言に、女性は「私も私も！」と相づちを打つ。「アイスコーヒーは好き？」という女性からの質問に、「どんなに暑くても年中ホット」と私が答えると、「そう！私もそう！」と大きく頷く女性。<br />
<br />
彼女は否定しない。私が明かした超のつく個人的な好み全てにウンウンと頷いた。<br />
<br />
「きっとアナタどちらも気に入るわよ！」<br />
<br />
挽きたてのまだぬくもりの残る袋を2つ手渡して、彼女は満面の笑みで私を見送った。好みを肯定されて、その通りに選び抜かれた豆がおいしくないはずはない。<br />
<br />
次の客がどんな豆を好もうと、彼女が言うことはただ一つ。<br />
<br />
「そう、私もよ。」<br />
<br />
<br />
<br />

]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-07-08T06:23:13+09:00</dc:date>
    <dc:creator>aloe352</dc:creator>
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  <item rdf:about="http://aloe352.jugem.jp/?eid=106">
    <link>http://aloe352.jugem.jp/?eid=106</link>
    <title>逮捕する</title>
    <description>「レジの金、渡しな。」横から突然声がした。

カウンターを挟んで客の私とレジの女性は固まった。声と共に何かが我々の間に伸びて来た。

拳銃か。

次の瞬間。

「もう、あんた何やってんのよお。びっくりさせないでよー！」

レジの女性が叫んだ。彼女の友達...</description>
<content:encoded><![CDATA[
「レジの金、渡しな。」横から突然声がした。<br />
<br />
カウンターを挟んで客の私とレジの女性は固まった。声と共に何かが我々の間に伸びて来た。<br />
<br />
拳銃か。<br />
<br />
次の瞬間。<br />
<br />
「もう、あんた何やってんのよお。びっくりさせないでよー！」<br />
<br />
レジの女性が叫んだ。彼女の友達だった。伸びて来たものは拳銃ではなく拳銃を真似た右手だった。<br />
<br />
「はー、びっくりした。」そう呟いた私に、本当にねえと、相づちを打つレジの女性はもう笑っていた。<br />
<br />
月曜日の昼下がり、カフェでの出来事。<br />
恐怖をもって平和を感じる瞬間である。<br />
<br />

]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-06-24T13:35:09+09:00</dc:date>
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  <item rdf:about="http://aloe352.jugem.jp/?eid=105">
    <link>http://aloe352.jugem.jp/?eid=105</link>
    <title>ノックダウン</title>
    <description>地下鉄に、ベビーカーを押す女性が乗り込んで来た。ベビーカーには赤ちゃんが一人。目をきょろきょろさせている。

乗り込んですぐ、赤ちゃんはうれしそうに手を振った。人がたくさんいるのがうれしくてたまらない様子。特定の誰に向けてというわけではないのだ。

咄...</description>
<content:encoded><![CDATA[
地下鉄に、ベビーカーを押す女性が乗り込んで来た。ベビーカーには赤ちゃんが一人。目をきょろきょろさせている。<br />
<br />
乗り込んですぐ、赤ちゃんはうれしそうに手を振った。人がたくさんいるのがうれしくてたまらない様子。特定の誰に向けてというわけではないのだ。<br />
<br />
咄嗟に振り返したのは私だけではなかった。私の右の男性も、そして左の女性も振り返している。<br />
<br />
赤ちゃんに、「バイバ〜イ」と手を振る大人が3人。<br />
次の瞬間、はっと我に帰り恥じらうその3人。<br />
<br />
赤ちゃんはぱあっと目を輝かせて笑った。<br />
<br />
「あー大変。彼女、いつまでも振りつづけるわよ。」<br />
<br />
そう言う母親もうれしそうだ。<br />
<br />
その後、赤ちゃんのバイバイ攻撃に撃沈された大人は、我ら3人の他に、4人。<br />
こんな攻撃なら、いつでもウェルカムだ。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />

]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-06-17T05:40:38+09:00</dc:date>
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  <item rdf:about="http://aloe352.jugem.jp/?eid=104">
    <link>http://aloe352.jugem.jp/?eid=104</link>
    <title>譲り合い</title>
    <description>「席、譲りましょうか？」

私の横に座る女性が言った。彼女の見上げた目線の先には一人の男性。白いシャツにグレーのズボン。高齢者というより初老という言葉がふさわしい。バスに乗り込み、しっかりとした足どりで私と彼女の座るシートの横まで来て、バーを握った。
...</description>
<content:encoded><![CDATA[
「席、譲りましょうか？」<br />
<br />
私の横に座る女性が言った。彼女の見上げた目線の先には一人の男性。白いシャツにグレーのズボン。高齢者というより初老という言葉がふさわしい。バスに乗り込み、しっかりとした足どりで私と彼女の座るシートの横まで来て、バーを握った。<br />
<br />
「いや、結構です。ありがとう。」<br />
<br />
男性の断りの返事に、女性は小さく「OK」と答えた。そう言われるとは思っていたけれど、とりあえず聞いてみたの。そんな彼女の思いが伝わってくるようだった。<br />
<br />
次のバス停で数人が降り、男性の真後ろにある一人がけの席が空いた。<br />
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「空きましたよ。どうぞ。」<br />
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その席の近くに立っていた女性が男性に声をかけた。驚いて振り返った男性は、その空席を一瞥して言った。<br />
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「いや、結構です。ありがとう。」<br />
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あら、座りたくないの。顔にそんな文字を浮かべながら、女性は自分で座った。男性は、何だか腑に落ちない顔をしている。<br />
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「みーんな、あなたに座ってもらいたがってるわね。」<br />
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私の横に座る女性が男性に言う。彼女もその「みーんな」の中の一人だ。<br />
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「ほんとに。」<br />
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不思議そうな、しかしうれしそうな表情で答えながら男性は肩をすくめる。<br />
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「すごく疲れてて、今日は絶対座りたいってときには誰も譲ってくれないのに。」<br />
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男性のその言葉に、彼女はもちろん私や、近くに座る女性まで声を出して笑った。<br />
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「そういうもの、人生ってそういうものよ。」<br />
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女性の言葉に互いに頷き合いながら、善意であふれるバスを後にした。
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    <dc:date>2008-06-14T01:48:18+09:00</dc:date>
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    <title>おおよそ2倍</title>
    <description>98と52。いつも通りだ。立ち上がろうとした私の背後から、突然声がした。

「それでいいんだよ！」

振り返った私に更に続く声。「心配いらねえよ！」

「この上の数字がな、下の数字の大体2倍くらいなら心配いらないって、看護婦が言ってたよ、この間。」

ああ...</description>
<content:encoded><![CDATA[
98と52。いつも通りだ。立ち上がろうとした私の背後から、突然声がした。<br />
<br />
「それでいいんだよ！」<br />
<br />
振り返った私に更に続く声。「心配いらねえよ！」<br />
<br />
「この上の数字がな、下の数字の大体2倍くらいなら心配いらないって、看護婦が言ってたよ、この間。」<br />
<br />
ああ、そうですか。心配も何もしてないんですけど。私の顔は不安げに見えるのだろうか。そのおじさんは、いいか見とけよ、と言って椅子に座り、自ら測りだした。<br />
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143と72。「ほらなっ！」<br />
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自慢げな笑顔で振り返るおじさん。<br />
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「本当ですねえ。ほぼ2倍ですねえ。」頷く私。<br />
<br />
そうなんだよ。心配なんていらないんだよ。そう繰り返しおじさんは去って行った。私を励ますように見せかけて、実は自分を励ましているんじゃないか、おじさんは。<br />
<br />
心配なんだ、血圧が。
]]></content:encoded>
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    <dc:date>2008-04-26T00:09:33+09:00</dc:date>
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    <title>出身はどちら？</title>
    <description>「出身はどこだってよく聞かれるけどさ、そんなのナンセンスだよ。子供の頃から引っ越し続きで、自分でもよく分かんないんだ。」

大きな身振り手振りでそう力説する彼は、更に続ける。

「あちこちに住んだよ。だからオレはこう答えるんだ。『地球出身だ』ってね。」...</description>
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「出身はどこだってよく聞かれるけどさ、そんなのナンセンスだよ。子供の頃から引っ越し続きで、自分でもよく分かんないんだ。」<br />
<br />
大きな身振り手振りでそう力説する彼は、更に続ける。<br />
<br />
「あちこちに住んだよ。だからオレはこう答えるんだ。『地球出身だ』ってね。」<br />
<br />
ツボにはまって笑い続ける私を不思議そうに見つめながら、だってそうだろ？と、両手を広げて肩をすくめる彼。<br />
<br />
ジョン・レノンが聞いたら泣いて喜ぶよ。<br />
<br />
この世はみんな、同郷の集まり。<br />
<br />

]]></content:encoded>
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    <dc:date>2008-04-15T06:58:41+09:00</dc:date>
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    <title>無料ビール</title>
    <description>アルコールが有料の機内で、私は一回だけ、最初のドリンクサービス時にビールを頼む事にしている。地上では考えられない金額を払って飲むビールは無論おいしいが物足りない。一缶すぐに空けてしまう。が、幸か不幸か、同じ金額を払って二缶目をいただく気持ちにはならない...</description>
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アルコールが有料の機内で、私は一回だけ、最初のドリンクサービス時にビールを頼む事にしている。地上では考えられない金額を払って飲むビールは無論おいしいが物足りない。一缶すぐに空けてしまう。が、幸か不幸か、同じ金額を払って二缶目をいただく気持ちにはならない。<br />
<br />
二回目のドリンクサービス時、寝の態勢に入った私は何もいらないと断った。「OK」と答えたその客室乗務員が、腰を屈めて私の耳元でささやいた。<br />
<br />
「あなた、又ビールが欲しい？今度はお金は要らないわ。」<br />
<br />
天使のささやきだろうか。驚いている私のテーブルに、先ほど飲んだのと同じ銘柄のビールが運ばれた。<br />
<br />
二缶目のビールを飲みながら、ビールがただで飲めている理由を考えてみる。<br />
<br />
あの客室乗務員は私に気があるのだろうか。その確率は低い。彼女は女性なのだ。<br />
<br />
ビールを積み過ぎて、キャプテンから軽減するよう命令が出たのだろうか。その確率も低い。私の胃袋に入ったところで、機体の重量は同じだ。<br />
<br />
酔いの回り始めた頭では、まともな答えはでない。ま、いいか。くれるというモノは貰っておこう。<br />
<br />
お陰で熟睡できた私であった。<br />
<br />

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    <dc:date>2008-04-11T20:24:43+09:00</dc:date>
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    <title>骨美人</title>
    <description>「あなたはフォトジェニックだ！」

褒められました。レントゲン室で、レントゲン技師に。

</description>
<content:encoded><![CDATA[
「あなたはフォトジェニックだ！」<br />
<br />
褒められました。レントゲン室で、レントゲン技師に。<br />
<br />

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    <dc:date>2008-03-01T06:18:58+09:00</dc:date>
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